沖縄県民が大切にする3つの「お正月」とは?

琉球王朝時代に貿易によってさまざまな中国の文化が入ってきた沖縄では、本州では見られない様々な年中行事があります。その中の一つが、沖縄に存在する3つのお正月です。

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沖縄には「新正月」「旧正月」「グソーの正月」がある

正月

沖縄には「正月」と呼ばれる年中行事が3つあります。

まずは一般的に「正月」と言われる新正月。これは西暦が変わる1月1日のことを言いますよね?

次が「旧正月」。旧暦の1月1日に行います。

最後が本州では聞きなれない「あの世の正月」。これは旧暦の1月16日に行われる年中行事のことで、沖縄では「十六日祭」と呼ばれています。

3つの正月は地域ごとに「やる」「やらない」が異なる

指さし

沖縄が持つ文化が本州とは異なる一つの特徴に、「伝統的な年中行事には旧暦を重視する」ということがあります。

旧暦は「太陰暦」が基本となっています。太陰暦というのは「月の満ち欠け」をベースに暦を設定する考え方で、農業・漁業が主流だったかつての沖縄の社会に適した暦でもありました。

現在の沖縄社会は、本州と同じく太陽暦(新暦)を採用しています。ですから沖縄県民と言っても、一般的な社会人が日常生活の中で旧暦を意識することはほとんどありません。

ただし昔からの伝統的な年中行事に関しては、未だ旧暦によって行われているため、「行事が近づいてくると意識が高まる」というのが正しい表現になるかもしれません。

こうした事情に加え、地域によって文化の違いがあるのも沖縄の特徴にあります。沖縄の「正月」の名がつく年中行事は3つありますが、いずれも沖縄県内のすべての地域で行われているというものではありません。

正月

最も一般的なお正月と言われるのが、新暦1月1日に行われる新正月。3つある正月の中では「メジャー級」と言えます。

次になじみが深いのが、旧暦1月16日に行われるグソーの正月。沖縄では「十六日祭」と呼ばれ、宮古・八重山等の先島地方を中心に離島地域で多く見られます。

ただし本島内ではそれほどメジャーではなく、那覇市や沖縄市など本島中南部ではやらないご家庭も多い風習です。ちなみに本島北部では盛んに行われています。

最もレアなのが「旧正月」。言葉としては最も沖縄っぽい感じがするのですが、沖縄県内の大半が「新正月」を重視しているため、旧正月に合わせて特別な行事が行われるということはほとんどありません。

ただし、現在でも旧暦の正月を重視する地域もあり、沖縄本島内では海人(漁師)の街で有名な糸満市がその代表例です。

今年も大漁!旧正月・糸満市の港に並ぶ大漁旗がカッコいい!

2017.01.30

どうして新正月に変わったの?

疑問

そもそも沖縄では、旧暦の1月1日の「旧正月」に祝うのが主流でした。

それが新暦1月1日の「新正月」に移行することになった大きな要因となるのが、本土復帰前の琉球政府によって推奨された「新正月一本化政策」です。これによって沖縄の正月の主流が、かつての旧正月から新正月へと変わります。

そして現在の沖縄社会では、新暦1月1日に正月を祝う「新正月」が主流となっています。

新正月で正月を祝うことが主流となった現在では、「旧正月には特に何もしない家庭」が多くみられますが、「新正月も旧正月も祝う家庭」や「昔ながらの旧正月で祝う家庭」もあります。

沖縄の新正月の風景

中身汁

沖縄ではお節料理に馴染みがありません。その代り沖縄ならではの正月料理として、「昆布」や「田芋」を使った料理がふるまわれます。

昆布には「喜ぶ」の意味があるため、昆布を炒めた「クーブイリチー」や白身魚を巻いた「クーブ巻(昆布巻)」が作られます。また、一つの株からたくさんの芋がとれる田芋は沖縄では子孫繁栄の縁起物とされ、正月料理には欠かせない食材です。

ちなに沖縄にはお雑煮を食べる習慣もありません。その代わりにお正月には、豚の内臓使った鰹ベースの汁物である「中身汁」を食べるのが主流です。

初詣では、自分の守り本尊(生まれ年によって決められている)が祀られている神社にお参りに行くのが主流です。干支が異なる家族の場合は、それぞれの守り本尊が祀られている神社をすべて廻る人もいますし、すべての守り本尊が一か所に祀られている神社にお参りをする人もいます。

沖縄の旧正月の風景

仏壇

旧正月は沖縄の方言で「ソーグワチ」といい、言葉からもわかるように昔は新正月よりも旧正月の方が沖縄県民にとってなじみの深いものでした。

旧正月では「若水(本州では「ハツミズ」「アサミズ」ともいう)」を「ウブガ―(産湯を汲んだ井戸)」から汲み「ウチャトー(お供え物としての水とお茶)」を仏壇に供えてご先祖さまや神さまへ御願をします。

沖縄のグソーの正月の風景

シーミー

「グソー」とは「あの世」のことであり、沖縄においては「ご先祖様がいらっしゃる場所を意味しています。ですから「グソーの正月」というと「ご先祖様のお正月」となるため、お墓の前で先祖供養をします。

グソーの正月の主役は「ご先祖様」ですから、先祖供養に欠かせない「重箱料理」が登場します。

ちなみに宮古・八重山地方では清明祭よりも「グソーの正月(十六日祭)の方が重視されているため、この時期に里帰りをする人が多いのが特徴。

本島に住んでいるものの里帰りが出来ない場合は、那覇市にある三重城に出かけ島の方角に向かってお供え物をしながら先祖供養をすることもあります。

生まれ故郷の風習を大切に守ることでうまれた3つの「お正月」

沖縄には3つのお正月が存在しますが、いずれも沖縄や生まれ故郷の風習をもとに受け継がれてきた行事です。

そのために地域によって「やる」「やらない」の違いがあるのですが、共通しているのは「ご先祖様を大切に想う心」。

この世を去ったご先祖様のためのお正月があるというのも、そうした沖縄の考え方が影響しているのかもしれませんね。


3つのお正月

ABOUTこの記事をかいた人

エミリー

広島から沖縄に移住してきたエミリです♪憧れの沖縄での生活を活かして沖縄の移住や文化について体験談を元にお伝え出来ればと思います。その他にも沖縄に関する様々な情報を発信していきます!