サンゴ91.4%が白化!沖縄の海が危ない…サンゴの「白化」とは?

青い海が広がる沖縄。水中には色とりどりの魚に魚たちを際立たせるサンゴ。カラフルなサンゴ礁は見ていて癒されますよね。そんなサンゴが危機急激に減少しているって知っていますか?

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サンゴの白化で沖縄の海がピンチ!?

サンゴが白化

沖縄といえば、やっぱり海!どこまでも透き通る美しい海をのぞけば、色とりどりの魚たちやサンゴ礁が広がる…そんなイメージがあるかと思います。

しかし、今そんな沖縄のサンゴ礁に大ピンチが訪れているといいます。

というのも、さまざまな形や色を作っているサンゴたちが「白化」しているというのです。あまり聞きなれないこの白化ですが、サンゴが白化するとどうなってしまうのか?沖縄の海がこれまでにないほどの危機的状況にさらされているというのは、どういうことなのでしょうか?

サンゴについて

エミリー

そもそもサンゴというのは、もともとは宝石として使われていたモモイロサンゴやアカサンゴのことを指していました。私たちがシュノーケリングなどで海にもぐったときに見えるサンゴは「造礁サンゴ」というもので、この宝石サンゴとは違います。宝石サンゴは深海でゆっくりと成長していくのに対して、造礁サンゴは浅い海で成長が早いというのが特徴なんです。

さて、ここでは造礁サンゴについて見ていきたいと思います。

サンゴは植物ではなく実は動物で、触手でプランクトンをつかまえて食べて栄養をとっています。そんなサンゴが世界のあちこちで大切に守られているのは、さまざまな海の動物たちをはぐくむ場所だから。

なんとサンゴ礁には9万種もの生物が暮らしていると言われていて、サンゴ礁によって守られている生命がたくさんいるというわけなんです。

また、サンゴ礁には「褐虫藻(かっちゅうそう)」という藻類が住み着いて、ともに暮らしています。

この褐虫藻はサンゴやイソギンチャクに住み着いているのですが、褐虫藻は太陽の光を浴びて光合成をおこないます。光合成で生まれた栄養をサンゴに渡し、サンゴに住まわせてもらっているという共生を行っているんです。

サンゴ礁が大切にされているもうひとつの理由が、この褐虫藻が住み着いているということです。褐虫藻によって光合成が行われることで、サンゴ礁に住んでいる魚などの生き物たちも栄養をもらい、成長していきます。成長した魚は私たち人間にとっても貴重な資源となるわけですから、そのもとであるサンゴがなくなってしまうととても困る…というわけなんですね。

サンゴの白化(はくか)ってなに?

サンゴ

では、サンゴの「白化(はくか)」とはいったいなんなのでしょうか?

先ほど登場した褐虫藻なのですが、これは熱にとても弱い藻類です。なんらかの原因で褐虫藻がサンゴ礁の外に出ていってしまったり、褐虫藻の中にあるクロロフィルという葉緑素が減ってしまうために、サンゴの色が透けて白っぽく見えることを白化といいます。

サンゴは褐虫藻が光合成で作りだした栄養をもらうか、自分の触手でプランクトンをつかまえて食べるかのどちらかで生きていきます。褐虫藻がいなくなってしまうのはサンゴにとっても大問題。

エミリー

サンゴに住み着いているまわりの生き物たちにとっても、そして私たち人間にとっても大きな問題であるのが、サンゴの白化なんです。

サンゴの白化、原因は…?

もっとも有力なのは「温暖化」です。海水温がどんどん上昇していることから、暑さに弱い褐虫藻がサンゴから失われていると考えられています。

温暖化

オーストラリアで有名なサンゴ礁・グレートバリアリーフでも、海水温が上がったことが原因だとされるサンゴの白化が起こっています。

それだけではなく、サンゴにさまざまなストレスがかかっていることも原因だと考えられているようです。たとえば、生活排水が海を汚す、沖縄のような観光地では多くの方が体に塗る「日焼け止め」の成分がサンゴの白化を引き起こす可能性があることがわかっています。

ちなみに、海水温が30度を超すと褐虫藻が減りだすために白化現象が起こりやすくなると言われています。海の中で30度!?と驚いてしまうかもしれませんが、太陽による熱や地中からの熱など海水温が上がる原因はさまざまです。

そして、沖縄のサンゴ礁にも白化の影響が。

特に八重島諸島の周辺の海にも大きな影響が出ているということで、テレビでも取り上げられるほど深刻だという状態です。白化は数か月・年単位で起こるものではなく、たった2週間程度の間でサンゴの色が真っ白になっている!というくらい変化が速いもの。魚が育たない、魚を含めた造礁サンゴに住む生き物が少なくなる、私たち人間の漁獲量も減るなど悪循環。

サンゴの白化はなんとかして食い止めなくてはなりません。

台風が来ないのはサンゴにとって致命的

台風

台風は多くの人に嫌われている存在。しかし、サンゴ達にとっては救世主でもあります。梅雨が明けて海水の温度が上昇していくとサンゴは石化が進んでいきます。それを止める為には海水温を下げなくてはいけません。

そこで活躍するのが台風なんです!台風が来る事で海の深いところにある冷たい水と海面の温かい水が混ぜられて温度が下がり、サンゴや海の生き物達にとって過ごしやすい環境にしてくれるのです。

が…しかし!2016年は台風が少なかった年でその影響がサンゴの白化に拍車をかけています。

石西礁湖のサンゴ91.4%が白化

石西礁湖をご存知ですか?石西礁湖は日本を代表するサンゴ礁生態系を有しているところで石垣島と西表島の間に広がっています。大きさは東西に約20km、南北に約15kmと言われ、国立公園に指定されています。

また、400種を超える造礁サンゴが分布していて世界的に見ても貴重な地域だと言われている場所なんです。

そして、石西礁湖のサンゴ91.4%が白化していると環境省が平成29年1月10日に発表しました。

調査は平成28年7月26日(火)~平成28年12月21日(水)までの期間で3回に分けて調査が行われました。

サンゴが死亡

上記の表を見て分かるように、短期間でサンゴが死亡しているのが分かります。

サンゴの白化を食い止めるために

沖縄のように日差しが強い場所で日焼け止めをまったく塗らないで…というのは、酷な話だと思います。

ですから、それ以外ではサンゴを食べてしまうという「オニヒトデ」を駆除したり、土砂が海に流れ出すのを防ぐなどの対策がとられています。サンゴをより良い環境で住まわせるために、サンゴの増殖や引っ越しなども研究者たちによって行われています。

沖縄の海に潜む危険生物や危険な場所について

2016.11.16

最近では沖縄のサンゴ礁の白化を受け、クルージングの合間にもサンゴの白化を直接見て現状を知ってもらおう…というツアーもあるんだとか。

ひとりひとりの取り組みで地球温暖化のスピードを緩めていくことができるように、サンゴの白化もブレーキをかけることができるはず。沖縄に行った際には、ぜひその目でサンゴの白化を直接見て、地球環境について今一度考えてみてはどうでしょうか。


サンゴが白化

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広島から沖縄に移住してきたエミリです♪憧れの沖縄での生活を活かして沖縄の移住や文化について体験談を元にお伝え出来ればと思います。その他にも沖縄に関する様々な情報を発信していきます!