沖縄に昔から言い伝えられている精霊「キジムナー」について

沖縄を観光していると、街の至る所でキジムナーの絵や銅像をみることができます。ガジュマルの木の上に住んでいて、人間が大好きな子供の精霊らしいのですが、一体どんな精霊なのでしょう?

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キジムナーってどんな精霊なの?

キジムナー

キジムナーは、沖縄では小さい子供からお年寄りまで誰もが知っている子供の精霊。なので、街でよく見かけるキジムナーの像などは、小さな子供の姿をしています。

でも、本当のキジムナーは、ちょっぴり違っているようです。

いろんな呼び方があるキジムナー

キジムナーは、いろいろな呼称を持っています。「ミチバタ」と呼ぶ人もいれば、「ブナガヤー」という人もいますし、「セーマ」と呼ぶ人もいます。

そんな中で、最もポピュラーな呼び方が「キジムナー」なんです。

キジムナーが住んでいるところ

ガジュマル

キジムナーは、そもそも樹木の精霊といわれています。そのため、キジムナーは沖縄の木に住んでいます。

でも、どんな木にでもキジムナーが住んでいるかというと、そうではないらしく、基本的にはガジュマルの木を好んで住むといわれています。

もともとガジュマルは、「気根」と呼ばれている根を枝から垂らし、生息域を広げて大きくなっていく、とても生命力が強い木です。そんなガジュマルですから、沖縄では昔から「縁起の良い木といわれて、大切にされてきました。

アン

ガジュマルの木の下に立ち、木を見上げてみると、確かに、そこに不思議な生き物がいてもおかしくないような雰囲気があります。

キジムナーの出身地ってどこ?

キジムナーは、本島各地の様々な場所で目撃されています。でも、キジムナーの故郷は、本島北部にある大宜味村の喜如嘉(きじょか)なのだそうです。

ちなみに喜如嘉では、「キジムナー」ではなく、「ブナガヤー」と呼ばれています。

魚獲りが得意

魚

木の精霊であるキジムナーですが、驚くことに、得意なことは魚捕りなんだそうです。海に潜って魚取りをすることもよくあるそうで、こんな昔話も残っています。

本

名幸タンメーとキジムナー

昔、宜野座村に住む漁師で、「名幸タンメー」という人がいました。

毎日、海に船を出して魚を獲るのが日課だったタンメーですが、その日に限って、どんなに頑張ってみても一匹も魚が捕れません。

夜になっても魚が捕れないタンメーは、その日は諦めて家に帰ることにします。

真っ暗な中、たいまつの灯りを頼りに浜に向かって舟をこいでいると、髪の毛が真っ赤な男の子が、海の上にふわりと浮かんでいるのを見つけます。タンメーは、思わず「おい、キジムナー」と声をかけます。

そう・・・。真っ赤な髪の男の子は、キジムナー。そこでタンメーは、こうキジムナーに尋ねます。

「どうして海の上にいるのさ?」

すると、キジムナーは、「魚を捕ってるのさ」と答えます。そして今度は、「一緒に魚を捕るか?」とタンメーに声をかけてきます。

誘われたタンメーは、キジムナーに言われたとおりに海に網を入れてみます。すると、さっきまで一匹も捕れなかった魚が、面白いように捕れていきます。

このことがきっかけでキジムナーと仲良くなったタンメーは、そのあとも毎晩キジムナーと一緒に海に出かけ、魚をたくさん取ることが出来たそうです。

好きな食べ物でも、その食べ方が変わっている!?

魚捕りが得意なキジムナーは、魚を食べるのも大好きなのだそう。特に好きなのが、沖縄の県魚でもあるグルクン(タカサゴ)。

意外とグルメなキジムナーなのですが、その食べ方は、やっぱりちょっと変わっています。

魚が好きといってもキジムナーが食べるのは、魚の目だけ。しかも、なぜか左の目だけしか食べないそうなんです。だから沖縄では、魚釣りをした時に左目だけがない魚が捕れたら、それはキジムナーが食べた魚だと今でも言われています。

本当は子供じゃない?キジムナーって何者なの?

疑問

キジムナーは、真っ赤な髪をした子供の姿であることが多いのですが、これとは違う姿で人間の前に登場することもあるようです。

自由に姿を変えることが出来るキジムナー

キジムナーは男の子の姿をしているといわれているのですが、実際にキジムナーを見たという人の中には、「男の子ではなかった!」という話もよく聞きます。たとえば・・・

  • 着物姿でおかっぱ頭の女の子だった
  • 素っ裸のままの男の子だった
  • 丸々と太った赤ちゃんだった

なかには、「家族連れのキジムナーを見かけた」なんて話もあります。

キジムナーは、自分の姿を自由に変えられるだけでなく、年齢だって、自分が思った通りに変えてしまうことが出来ると言われています。

ただ、キジムナーの変身には特徴があるらしく、男性の前に現れる時は女性の姿、女性の前に現れる時は男性の姿で登場することが多いのだそうです。

基本的には人に無害な精霊

キジムナーには、タブーといわれていることがいくつかあります。このタブーを破られると、いくら友達であっても、怒りでその人を殺してしまうこともあるという噂も・・・。

でも、タブーさえ破らなければ、至って無害なのがキジムナーです。だからこそ沖縄では、キジムナーのことを、人間と仲良く暮らす「良き隣人」として付き合ってきました。

怒らせるととんでもなく恐ろしいキジムナー

女性

キジムナーは、タブーを破られると、人間であっても攻撃してくると言われています。

タブーとされている一つに、キジムナーの住む木を傷つけるという事があります。自分が住む木が傷つけられると激怒し、家畜をすべて殺してしまったり、人間を船ごと沈めて溺死させたりすることもあるとの言い伝えがあります・・・。

一度怒らせると徹底的に祟られる

基本的には優しい性格のキジムナーですが、タブーを破らないにしても一度怒らせると、徹底的に祟るとも言われています。でも、ガジュマルの木を傷つける時のような残酷なやり方ではなく、どこかいたずらっぽい祟り。

例えば、「赤土を赤飯に見立てて食べさせる」「木の祠の狭い場所に閉じ込める」「寝ている人の上から押さえつける」「世道を照らすための灯りを突然奪っていく」など…。

怒らせたとしても、タブーでなければ、意外と可愛いお仕置きをしてくるキジムナーは、やっぱりどこか憎めない存在です。

アン

ちなみに私はキジムナーを見たことがありませんし、私の周りにも見たことがあるという方はいません。本物だと確信を持てるような映像がある訳でもありません。

しかし、キジムナーを見たという話は友人の友人の…と誰かを伝って耳にする事があります。果たしてただの作り話なのか、はたまた昔から今もひっそりとどこかで生き続けているのか・・・


キジムナー